レヴィオルストーリー2

アレンは騒ぐ三人を見つめ、目を細めていた。



───とても、辛そうに。



しかし教皇の視線に気付くと、にっこり笑みを見せ直ぐ様誤魔化す。



その笑顔は誰もが見惚れてしまうくらい美しく完璧なもので。



(……見間違いかしら。)



まだ彼と付き合いの浅い教皇はそう考え、こちらも笑顔を返した。


アレンがあんな笑顔を見せたことがないことなど、完璧すぎるそれに忘れさせられてしまったのだ。













「あ、あの、教皇様。何人までならいいですか?」


何故か緊張した様子のマケドニスが質問し、教皇の視線を自分に向けさせた。



その瞬間アレンの肩から力が抜ける。


だがそれに気付く人は彼からしたら幸いにも誰もいなかった。



教皇とニーナはマケドニスと話し込んでいるし、三人は周りの目も気にせず騒ぎっぱなし。



そんな中アレンだけが、黙り込んで目を閉じる。




目を瞑れば真っ暗な世界。



小さい頃から偽物の笑顔の後には、何度もこうして逃げてきた。



今度は確かに心から笑うときもあるけれど。



それでも忘れた訳ではない。





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