レヴィオルストーリー2
「……あー、うざい」
いちいち向かってくる獣が限りなくうざい。
悪態をつきながら進むアレンは何故か剣を直してしまい、変わりに首筋に手を宛てた。
(……どうせいなくなったのはもうバレてるだろうし、イルに居場所掴まれる筈だし…。)
それならもう解放しても変わりないだろう。
そう考えた彼は向かってくる獣の気配を感じながらも小さく何かを呟き、すぐに足元に巨大な魔方陣を出現させた。
一瞬、魔方陣から風が吹き荒れる。
「……悪いけど気絶しとけ」
そう言ったアレンの周りには、多数の気配が気を失い倒れていた。
それでも一匹も死んでいない。
アレンはそれを確認すると、今度は手を前に翳しまた囁くように呪文を唱えた。
薄い金色の結界のようなものがアレンを包み、しかし瞬きした次の瞬間には見えなくなる。
「……これで楽に進める」
呟いたアレンは再び剣を抜き、また歩き出した。
先へ先へと進む、あいつの気配を追っていく。