レヴィオルストーリー2
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「……ここ…?」
レイ達が馬車で出発してから少し後。
ひたすらに北に向かう“あいつ”を追っていたアレンは、やっとそいつの姿を認めることができた。
誰なのかはわかっていたから、さほど驚かない。
しかし自分が誘導されたこの場所が普通ではなかった。
「神域…」
「そうだよ、アレン。こっから先は神域だ」
アレンが追っていた『あいつ』が答えた。
神域というのは北のノーアス大陸に場所を広げる、名前の通り神の域。
この神域の先の一番北にある神の塔に、世界の神ファンリュジョンがいるとされている。
「……クウェンナ」
自分よりその神域よりに立っている『あいつ』──クウェンナを睨む。
黒い髪を四方八方に跳ねさせた彼は、独特なそのグレーの瞳を口の端と共にニヤと細めた。
「クウェン兄、じゃなくなったのかい?」
「…俺の思ってたクウェン兄はもういないから」
「フーン? で、何か用か??」
──わかってるくせに。
アレンはわざとらしい青年に少しばかり苛々する。