レヴィオルストーリー2
「キイィ~ッ!まっったく歯がたたないッ!
こんなのあたしのプライドが許さないわッ!!」
何やらイルがキーキー甲高い声で喚きだした。
それをドウドウ、と宥めるギルク。
(……牛?)
アレンは二人の様子にちょっと場違いなことを思ってしまった。
とにかくイルのプライドは置いといても、この大差がありすぎる苦戦を続けるのは厳しい。
三人で頭を悩ましている間、アレンは仕方ないから魔力を解放しようかと考えていた。
しかし、それだと駄目なのだ。
相手はアレンが魔力をきちんと使いこなせず、ぶっ倒れてしまうことを知っている。
しかもダーチェスの狙いはそのアレンの魔力を利用すること。
彼女との会話でアレンはわかってしまったのだ。
───闇王ダーチェスはエレスの力を使い、神の塔へ入ろうとしている。
「……めんどくせぇ」
考えに耽っていたアレンが、そうボソッと呟いた時だった。
───状況が、少し変わった。
ドカン、と勢いのある音と共に、ズバッと何かを斬った風の音がしたのだ。
その場にいた全員が、その音がした方向に目を向ける。
そこでは、
───マケドニスとクウェンナの戦いに決着が着いていた。