レヴィオルストーリー2
小さく笑顔で言ったクウェンナ。
彼はそれからアレンが何かを言う前にダーチェスに目を向けた。
その意味を理解した女性の手がまた伸びる。
「……バイバイ。頑張れよ」
クウェンナは最期にそう囁いて眠りについた。
ダーチェスが手をどけると、彼は穏やかな表情を見せる。
その場にいる全員が、しばらくその人を見つめていた。
「…………さて、と」
そう言って最初に動きを見せたのはダーチェス。
彼女は周りをぐるりと見回すと、すぐ傍にいるアレンで目を止めた。
「……ムシャクシャするわ。
それにあの子の為にも目的は果たさなきゃ。
憂さ晴らしにはもってこいね」
そして、彼女の手に現れる黒い剣。
その剣は真っ直ぐにアレンを狙い振り下ろされた。
マケドニスを支えているからか、放心しているからか、アレンは微動だにしない。
速すぎる剣さばきに、イル達も行動を起こせなかった。
「アレン!」
レイの叫びが辺りに響く。
黒い剣が、標的の隙だらけな背中を一閃した。