レヴィオルストーリー2

「また先見をしましたね。

最初私に馬車にいろって言ったのは、そうしなければ危なかったのでしょう?」


ニーナは年齢不詳な教皇に向かいズバズバと思ったことを言うと、白き主人の目を覗き込んだ。

サリルナ教皇はうふふ、と笑って何故か照れる。


「そんなに見つめないで下さいな。ニーナったら本当に何でもお見通しね」

「貴女がわかりやすいんです」


…教皇はどちらかといえばいつもニコニコしていて考えが読めない人なのだが。


長年の付き合いなのかニーナはそう言うと教皇を睨んだ。


腰に手を宛てて説教モードなのだろう、また口を開く。



「…先見をしたのなら何故そのことを言わなかったのですか?
そうすれば、こんな世界に関わる大事は起きなかったかもしれないのに」



そのニーナの言葉に教皇は目を細めた。


それから自分の目に瞼の上から手を宛てると、フッと意味ありげな笑みを溢す。




その瞳の珍しい色には、理由があった。




“先見”。




───占星術師が稀に目覚める、予知の能力。






教皇はそれをその瞳に宿している。


それ故に、瞳が白い。





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