レヴィオルストーリー2
「………アレンや」
「…………はい」
アレンの様子を見たメディンは口調を柔らかくして声をかけた。
少し返事に詰まってしまった弟子の頭を撫で、憂いに満ちた優しい眼差しを向ける。
「…そういう風に我慢するのもわしの前ではなしじゃ。わかったかの?」
「………はい」
「よろしい」
満足そうににっこり笑うメディン。
アレンはそんな彼を見て、この人には敵わないと諦めにも近い感情を感じた。
立ち上がると自分より背の低いメディンを見下ろし、小さく笑う。
「………ありがとうございます」
「いいや。もう今日はお帰り。
愛しのハニーが待っておるじゃろう」
「…は、はにー?」
最初は戸惑ったアレンだったが、意味がわかるとまた頬を染め照れてしまった。
普段はあまり感情を表に出さないくせに、こういうところはわかりやすい。
「そうじゃ、ハニーじゃ。
アレンの愛しのレイちゃんじゃよ」
「…い、愛しの…」
「…面白いのう。
ほら、大好きな愛人の為に帰るのじゃ」
「…俺で遊ばないで下さい」
アレンは拗ねながらも頭を下げメディン宅を去って行った。
その後ろ姿を見送りメディンは笑う。
「…生き甲斐がまた出来たのう。
さて、わしもわしのハニーのところへ行こうか」
その呟きは誰にも聞かれないまま空に溶ける。
メディンは上機嫌で出掛ける準備をはじめたのであった。