それでもあなたが大好きです。
カメラを通して見ていたため、部屋の様子を知っているつもりでいたが、実際に部屋に入ると、予想以上に狭かった。
そして暖房器具もなく、とてつもなく寒い部屋だった。
「すみませんっ、寒いですよね」
そう言いつつ、小春の手にはふかふかのブランケットが握られていた。
「これ…よかったら使ってください」
今まで監視してきて、一度も目にしたことのないモノだった。
「ありがとう」
「お客様用の、って言ってもこんな小さいのじゃ膝にかけることしかできないんですけど、でも…
うちに誰か来ることなんてあり得なかったからこんなのしか置いていなくて」
そう言って恥ずかしそうに浮かべた小春の笑顔もまた、蓮が監視を始めてから一度も見たことないような、とても優しい笑顔だった。
「…おまえは寒くないのかよ」
「私のことなんか気にしないでください!慣れてますから」
そう首を振るが、寒くないなんて嘘だ。
俺より体も小さく筋肉もついていないだろうに、寒くないわけがない。
なにより少し震えているように見える。
「おまえ嘘つくの下手だな。
俺はいくらでも待つから、早く着替えて来い」
「…ごめんなさい。早くしますね!」
ーー本当は、凍えるこいつを抱きしめてやりたかった…なんて思ってたって知ったら、こいつは怖がるだろうか。