それでもあなたが大好きです。
それより今の私にはすごく気になることがある。
「あの、蓮さん…手が」
「あ?なに」
「手、離さないんですか?」
そう。さっき手を握られてからずっと、私と蓮さんの手は繋がれたままだった。
「…おまえすぐいなくなりそうだから繋いでてやるよ」
そう言うと、蓮さんの長い指は私の指に絡まされた。
「っ!これって恋人繋ぎじゃ!」
「このほうが人ごみでも離れにくいだろ?」
人生初の恋人繋ぎ。
いや、そもそも手だって家族以外とは繋いだことなかったかもしれない。
周りが恋愛を楽しんでいる時期に私の両親は死んだ。
そのあとも、私のために青春を捨てて働いてくれているお兄ちゃんを差し置いてまで恋愛をする気にはなれなかった。
そして起きた悲劇ーーー。
私が勝手に蓮さんのことを想うのは問題ないよね…?
せっかく産まれてきたんだからやっぱり恋愛だって一度はしてみたい。
少しの間だけでいいから…
だから蓮さん。あなたを想うことを許してください。