それでもあなたが大好きです。
「小春は中入ってて。
紙は俺が剥がしてくるから」
「…ありがとう」
床に落ちた紙を拾い集め、外に出た。
『クズ』
『死ね』
『出てけ』
『バケモノ』
『人殺し』
どの紙にも辛辣な言葉ばかり書かれていた。
「…っ、なんだよこれ!」
小春は毎日毎日こんなことを?
こんな姑息な真似をして小春を苦しめて…俺はこんなことをしたやつらが許せなかった。
「あらあなた…あの女とどういう関係?」
廊下ですれ違った女が振り返って俺に問う。
「あなたには関係ありません」
「あなた騙されてるわよ。
その女、連続殺人犯の妹なのよ。
しかもかなりの男好きらしくて…」
「ふざけんな!!!
おまえらが小春の何を知ってるって言うんだよ。
ありもしない噂立てて楽しんで、おまえらのほうがクズだと思わねえのかよ!」
「っ!なによあなた!
人が忠告してあげてるって言うのに!
さすがあの女の男ね」
そう言うと女は隣の部屋に入っていった。
クソっ!クソっ!クソっ!!
なんなんだよあの女は!
俺は集めた紙を投げつけたい衝動に駆られながらも、これ以上小春の立場を悪くしてはいけないと耐え、小春の待つ室内へ戻った。