それでもあなたが大好きです。
17 お買い物 koharu side.
「蓮さん、声が聞こえたけど何かあったんですか?」
玄関から歩いてくる蓮さんを見ると、蓮さんの顔は険しく歪められていた。
「…蓮さん?」
「なんでもない」
なんでもないって顔はしていない。
だけど、これ以上聞いてしまったら困らせるような気がして、私は聞くのをやめた。
『ピンポーン』
気まずくなった空気を破るようにインターホンが鳴る。
さっき買った物が届いたのだろう。
「俺が行ってくるから小春は座ってろ」
「え、そんなの悪いです!」
「大丈夫。力仕事は男に任せとけ」
「…ありがとうございます」
蓮さんのことが好き。
大好き。
蓮さんに会えて、今すっごく幸せ。
「小春ー、ごめん。
これ置きたいから机寄せてくれる?」
「はーい」
殺風景な部屋にいろんなものが運び込まれてくる。
「蓮さん、これどこに置いたらいいと思いますか?」
「んー、その棚の横にでも置くか」
「そうですね」
まるで同棲をはじめるカップルのような会話に、小春の胸は踊った。