それでもあなたが大好きです。
お兄ちゃんが逮捕されてから1年。
あまりの嫌がらせに実家にも住めなくなり、アパートを転々とした。
事件の慰謝料も払わなければいけなかったため、実家に残していた家具はほとんど売ってお金に変えた。
だけど家を売るのだけはどうしても耐えられなくてそのままにしていたのに…
結局は気味悪がった近所の人に放火され、すべてが灰に変えられてしまった。
帰る場所も、思い出も、すべて灰になって、写真だって持ち歩いていた数枚だけしか残らなかった。
「そっか」
せっかく明るくなっていた空気がまた暗くなって、私は焦って別の話題を探す。
「そういえば蓮さんって何歳なんですか?」
「俺は23歳」
「え!私と4つしか変わらないんですか!?」
「なに?俺は老けて見えるって?」
「違います!
すごくしっかりしてるし、雰囲気も大人っぽいから!
もうっ、老け顔って意味じゃありませんよ!」
「なーんだ、そういうことか」
いたずらっ子のように笑うその表情にキュンとする
「じゃ、じゃあ誕生日は?」
「それがよくわかんねえんだよなー。
養子にされる前の名字がわからないって昨日話しただろ?
俺と一緒にメモが置かれてたみたいなんだけど、そのメモには下の名前と5月生まれってことだけしか書いてなかったらしくて。
日付はわかんねぇんだよ」