それでもあなたが大好きです。
…蓮さんを捨てたお母さんはどんな人だったのかな。
ここでふと小春はこんなことを思ったが、触れてはいけない気がした。
「そういう場合って戸籍はどうするんですか?」
「たしか5月1日生まれってことで申請したんじゃなかったかな」
5月1日ということは、今日からちょうど4ヶ月後だ。
「じゃあ5月1日には誕生日パーティーしましょう!」
「誕生日パーティー?」
「はい!ケーキとプレゼント用意します」
蓮が生まれた日を盛大に祝ってあげたいと思う小春だった。
「…ありがとな。
俺今まで誕生日祝ってもらったことなんて一度もないからまじで嬉しい」
「そうなんですか!?
だったら尚更豪華にしましょうね」
犯罪を手伝わせるためだけに引き取られたとは聞いていたが、誕生日さえ祝ってあげないとは…
本当にひどい親だ、と密かに腹を立てた。
「ていうか小春は2月だろ?
俺より小春のほうが誕生日先じゃん」
「あ…そうでしたね」
「自分の誕生日を忘れんなよ。
おまえの誕生日は俺が盛大に祝ってやる」
誰かにまた祝ってもらえるなんて…
この前までの私には想像もつかないだろうな。
「ふふっ、嬉しいです」
「は?バカ泣くなよ」
「ごめんなさい、もう一生誰にも祝ってもらえないって思ってたらから…本当に嬉しくて」
「泣き虫」
「蓮さんの前でだけです」
「…じゃあ許す」
泣いたり、笑ったり、しんみりしたり…
蓮さんと過ごす、すべての時間を大切にしていきたいと心から思った瞬間だった。