それでもあなたが大好きです。
18 同居生活 ren side.
◇◇◇
突然始まった俺と小春の同居生活は、お互いにとって、毎日幸せな時間となっていた。
「じゃあ小春、俺今日も先に出るわ」
「え!今日もですか?
言ってくれれば早く準備したのに」
小春に罪悪感を抱かせないために隠しているが、ここからから仕事場まではかなりの距離があるため、早く出なければいけなかった。
「おまえはあと1時間以上もあるのに俺に合わせてどうすんだよ」
「だって少しでも一緒にいたくて…」
シュンと首を傾けてそう呟く小春。
「いってらっしゃいって見送ってくれるだけで十分だから」
これは俺の本心だった。
「いってらっしゃい」なんて言葉を誰かからもらったことなど一度もなかったからだ。
「じゃあ…いってらっしゃい」
「いってきます、小春。
今日は帰りにケーキ屋行くけどなにがいい?」
「やったあ!
じゃあいちごのショートケーキお願いしてもいいですか?」
「了解。
じゃあ、今度こそ行ってくる」
「はい!いってらっしゃい」
全力で手を振ってくれる小春に手を振り返しながら、俺は仕事部屋へ急いだ。