それでもあなたが大好きです。
22 悲劇 koharu side.
◇◇◇
私の誕生日から3日。
…つまり、蓮さんと会わなくなってから3日。
蓮さんからもらったうさぎのぬいぐるみに話しかけることで、私は寂しい気持ちを紛らわせていた。
蓮さんがあらかじめ雇ってくれていた警備会社の方たちとも、笑顔であいさつを交わす程度に距離を縮めていた。
中でも、チームリーダーの園田冴子(そのださえこ)さんとは、会話をすることも増えた。
…私が出会ってすぐの人とこんな風に普通に会話できるなんて、ここ最近ではあり得ないことだった。
他人が怖くて仕方なかくて、どうしてもうまく話せないでいた。
それなのに今はこんな風に楽しく会話することができる。
これも、蓮さんのおかげなのかな…
蓮さんと離れて、改めて蓮さんの存在の大きさを実感する毎日だった。
◇◇◇
ここ最近は、嫌がらせで仕事を押し付けられることもなくなったため、定時で帰宅するのが小春の日課となっていた。
「…お疲れさまでした」
返事を返してくれる人はいないと分かっているけれど、誰も返事してくれないというのは結構悲しいものだ。