それでもあなたが大好きです。



男の手はウエストの紐にのびてきて、蝶々結びはいとも簡単にほどかれてしまう。

浴衣型の入院服を着ていたため、ウエストの紐をほどかれてしまって今、前がすべて肌蹴てしまった。



「綺麗だよ…僕のエンジェル」

「やだっ…やだ」


男は持っていたスマートフォンを構え、小春の体を隅々まで撮影し始めた。

助けを求めたいのに怖くて声も出ない。



小春が叫ばないのをいいことに、男の手は徐々に下着に伸びてくる。
男の手が小春の胸に触れたそのとき。





「やめてっ!
お願い…
お願い、誰か助けてーーー!!」


ついに大声を出した小春に動揺し、男は尻餅をつく。


「佐々本さんどうなさいました!?


…っ!!!」


病室を見て回っていたであろう看護師が、小春の声を聞きつけ部屋に飛び込んできた。
そして手に持った懐中電灯を、床に座り込む男と小春に向ける。



看護師は、一瞬でなにがあったかを察知し、病院中に響き渡るような声で悲鳴をあげた。


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