mariage~酒と肴、それから恋~《6》
悶々してるうちに駅に着いたら、小雨。

駅前のコンビニに目を向け、さて、どうするか、傘買う?

…うーん、お金勿体ない。走って帰ったら5分くらいだし、即決。

走る!

コンビニ寄らずに、ダッシュする。


「結希乃ちゃーーん!」

数メートルダッシュしたところで、後ろから勢い良く呼び止められた。

振り向くとビックリ。

「凱くん?!」


「待って、待って、一緒に帰ろ」

傘を持った凱くんが、寒いねーと身を縮めながら笑顔で駆け寄ってくる。

「結希乃ちゃん、コンビニで傘買うって言ってたからコンビニで待ってたのに。前を走り去って行くからビックリしたよ~」


「こっちもビックリしたよ、まさか迎えに来てくれるなんて。でも、ありがとう」


さっと傘を広げて、入れてくれる。

「行くって入れたじゃん。既読になってないから見てないんだろうけど」


「あ。ごめん」

気づかなかった。


「いいよ、帰ろう」

部屋着の上にダウンコート羽織って、傘持ってきてくれるなんて。
< 5 / 17 >

この作品をシェア

pagetop