【長完】Keeper.l
なんか、気が抜けるような去り方だった。

いきなり喧嘩売ってくるレディースがいてとっちめようと思ったら総長出てきて……。

何があったんだろうか、結局。

『そう言えば、何か用?』

てっきり十勝の方にブラブラとついて行くか、自分で適当に時間を潰すと思っていたから会うとは思わなかった。

だから、呼びに来たと考える方が適切では無いだろうか。

『あ、あと、さっき、助けてくれてありがとう』

必要なかったけど…、と付け加えれば

「かわいくねぇな。」

頭を小突かれた。その割には、

「仲間に、形式上でもなったんだから、すごすごと殴れそうになってるのを見過ごす訳にはいかねぇだろ。」

と、何気なく付け加えた。

……仲間、か。

「龍の方も、そろそろあの犬っころが退場するみてぇだからお前迎えに来たら面倒なことになってるしよぉ、なんなんだよ、お前」

『さぁ?いきなり絡んできたから、びっくりした。』

「の割にはそんなに驚いてるようには見え無かったけどな」

『まぁね。十勝、どこにいるの?』

「あ?音のする方についてけばいるだろ」

……なんと適当な。こいつも方向音痴か?

いや、勘だろうな。

2人で歩きだせば、周りの野次馬達もパラパラとあとを付いてくる。さすがに、十勝の謎のスイッチONを見せる訳には行かないので途中で撒いた。

荷物のバックが、やけに重く感じた。
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