【長完】Keeper.l
少し迷ったものの、はぐらかすように

『別に』

と答えてから、十勝たちの方へと近づく。


「じゃあ、行くか。」


そういう流れになった時、


「待て、龍。」


金髪が十勝を呼び止めた。


「どした?」

ゆるりとこちらに体を向けた、十勝。その動作にともなって、金・銀メッシュが茶色の髪の上でふわりと踊る。


「今さっき、こいつが凛蝶のヤツらと接触した。」


金髪は私を指さして、そう言った。

凛蝶…、ああ、さっきの奴らか。あのパンダと強烈総長。

ついさっき見たことなのに、十勝のあの狂いっぷりを見たせいで頭の片隅に追い出されていた。

「…凛蝶。舞花のとこのか?」

「おう。そこの幹部がこいつにいちゃもんつけててよ。」

「そうか。」

「ああ。凛蝶の所にも顔出しして挨拶しに行かねぇと、また今日みたいに絡まれるかもな。

……こいつ、俺が見た時は殴られそうになってたぜ?」

手を私の頭に置いて、2、3回叩く。
それがなんとなく馬鹿にされているようでムカついた。

『別に、ちょうどあの時は貴方が助けてくれたみたいになってるけど、私だけでも何とかなったわ。

それに、殴られそう、じゃなくて平手打ちね。』

ゆっくりと訂正を入れる。

「ホンットに、偉そうだな」

何を、勘違いしているのだろうか。

私は…。私は、


『私は、お姫様じゃない。だから守ってもらう存在じゃないでしょ。

それに、所詮、居候だから。お互いに利害があったから今の関係になっているわけでしょ。』

ニュアンスで仲間ではないことを告げる。
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