【長完】Keeper.l
少し、沈黙が降りたけれど、それを振り切るように十勝が私の肩に手を置いた。

「悪かったな、俺達が中途半端に凛蝶に情報を伝えたせいで。まさか、殴るまでとはいかないと思っていたが、もう少し慎重に動くべきだったな。


あと、お前は俺たちのことを仲間と思っていなくても。

たとえ利害関係の一致という関係でも、抗争や暴走で神龍の名を一緒に背負うんだ。

少なくとも俺達は、仲間だと思ってる。」

ふわり、と微笑んだ十勝。

それに、【あの人】の面影が重なって。

___『私も、仲間だと思ってる。』

うっかり告げそうになってしまった。

ダメだ。駄目。

私はまだ、《神龍》を見ていない。神龍を通して、Kの面影を見ているのだから。

だから。K関係なく《神龍》を見れたら。

その時は、仲間だと言ってもいいだろうか。

素性を隠した私に、言うことは許されるだろうか。


『ありがとう。』

心は隠して、告げた。



風が吹き、木の葉が揺れる。

緑色が、サワサワと。



舞う。

茶色の髪が、フワリと。


靡(なび)く。

金髪の髪が、サワリと。



風が私の黒髪を持ち上げた。



_______もうすぐで、夏が来る。
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