【長完】Keeper.l
ひとの間を縫って、3人縦一列で歩く。

前から十勝、金髪、私の順番だ。

ふわり、ふわり、目の前の金髪が揺れる。彼の後ろ姿は、兄を連想させるかと思ったが意外と似ていない。

兄弟ってどこか似ているようなイメージがあるが、そうでも無いのだろうか。

……私、兄弟いないから分からないけど。

コツ、コツ…。

星ヶ丘の制服の、ローファーが歩く度に音を立てる。

サァーッ、

風が吹いた。

人人の賑やかな声。

雑音。
雑踏。


何となく、横を向いたら、

『あ、』

声が漏れた。

「ん?…え?と、里香ちゃん?」

どうやら、お互いに認識したようだ。

『久しぶりです、後藤さん。』

「久しぶりだね、里香ちゃん。」

前にいた金髪が、ゆるりと振り返る。

「龍、待て。おい、こいつ、誰だ?」

十勝を引き止め、知らない人をこいつ呼ばわりって…。

< 121 / 314 >

この作品をシェア

pagetop