【長完】Keeper.l
「どう？この頃。大丈夫？」

後藤さんの問いかけに、ゆるりと首を縦に振る。

後藤さんの言葉には、《大丈夫じゃないなら、また援助するよ》という言葉が含まれている訳ではなく純粋にこちらを心配してくれている。

どこまで、綺麗な人なのだろう。この人は。


『はい、今は身を落ちつける所も出来ました。』

「ああ、さっきの男の子達？あの子達は強そうだから何かあっても里香ちゃんのこと守れそうだね。」

きっと、十勝と金髪のことだろう。キャットファイトは見られていないはずだから。

『ええ、まぁ。その人たちのところで衣食住お世話になってます。』

「そっか。」

まだ、ほんの少しだけ不安そうな顔。

心配って、こういう感じなのだろうか。

何故か、少し心が温かくなる。

『女も、私だけではないですから、大丈夫ですよ。彼らも、私たちに手を出してくるようなことはしませんし。』

「そっか。」

先ほどと同じ言葉なのに、ニュアンスや纏っている雰囲気が違う。

安堵したような感じで、まるで周りに花が綻ぶように後藤さんは笑った。
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