【長完】Keeper.l
《君は、自分が思っている以上に、周りの人に与えているよ。》

ほんとに、そうだろうか。神龍ではまだ何も戦力になれてない。

Kでも、【あの人】にも。与えてもらうばかりだった。

私は本当に、与えられているだろうか?

ぐるぐるグルグルと、黒い渦が心の中を這い回る。

「里香ちゃん」

気がついたら下を向いていたようで、はっ、と後藤さんに目線を向ける。

「聞いてくれる?里香ちゃん。」

『何でしょう』

「僕ね、今度結婚することになったんだ。」

『結婚?』

「うん。僕を認めてけれた人なんだ。」

『そうなんですね、おめでとうございます。』

「ありがとう。」

幸せそうに微笑んだ、後藤さん。

「里香ちゃんの事も、名前は伏せて、言ったんだ。僕はそんなに綺麗な人間じゃないと。

だけど、それでもいいって言ってくれたんだ。

だから僕は、仕事がいくらきつくても、僕を認めてくれた嫁さんと、未来の子供のために生きようと思う。


里香ちゃん。君がいてくれたから、そう考えることが出来たんだ。
ありがとう。」


『私は何もしてないですよ。それは、後藤さんが強いからじゃないですか。』
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