【長完】Keeper.l
色々と盛り上がったのもそこそこに、新しく自室となった部屋に行き早速ベットに横たわる。

ボーッとしていれば、ふと、込み上げてくる嘲笑。


愚か、だなぁ。

ただ1人の役職も持たない小娘がなぜここまでとか思わないの?

だって、あの的確な経験談は実際に上に立ったことがなければ分からない。

何回か、経験しなきゃ分からない。

私が実はスパイとかだったら、どうするのさ。

ほん、と。警戒のするところが違うでしょ。

それにしても……。昼間のお姫様の言葉。

《里香ちゃんは綺麗だもん》

自分の手を目の前にかざす。ライトに照らされて、少し暗く見える、普通の人から見たら何ともない手。

だけど、こっちの人が見たら一瞬で分かるゴツゴツとした女らしくない手。

喧嘩もたくさんしたし、お世辞でも綺麗とは言えない、



………………大切な人を傷つけることしか、できない手。

『誰も守れない私は、決して綺麗なんかではない。』

1人、ポツリとつぶやく。
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