10代の病んだ魂たちへ ~イジメ復讐~
「最近、おまえいじめられなくなったよな。多分、高橋が転校してきたお陰でな」
うさぎを触りながら、谷口は何気なく掃除をしていた僕に言った。
「………」
谷口の言葉は、今まで僕がいじめられた時にさえ感じることのなかった心の中の炎をかきたてた。
僕の感じていた理不尽を、加害者である彼が口にしたことが許せなかった。
「そうかい? でも僕はそれを、とても良くは思えないけれどね」
僕はいつになく強い口調で言った。すると、谷口は一瞬だけ僕を見て笑った。
「そう落ち込むなって。ほら、おまえもうささん触る? 超可愛いぞこいつ」
谷口はご機嫌な様子でうさぎを僕に掲げた。
うさぎは谷口に持ち上げられたのが不快だったのか、谷口の手の中で少しあたふたして、掃除を終えたばかりの寝床に逃げてしまった。