10代の病んだ魂たちへ ~イジメ復讐~
「ダメだよ。私⋯
まだ、学校のみんなとも、本当は仲良くなりたいから」
「えっ………」
彼女の答えはあまりにも意外なものだった。
僕と同じような境遇の中で、僕と同じような地獄を味わってきた彼女。
しかし、彼女と僕とで決定的に違ったことは、彼女は、まだ他者に何らかの期待をしていることだった。
「私さ。美術部で絵を描いてるじゃない?
あの女の子の絵。あれ、先生がすっごくうまく描けてるから今度のコンクールに出そうって」
彼女は純粋な笑顔を覗かせながら僕に言った。僕はその言葉を、ただ、黙って聞いていた。
「大きなコンクールだから、もし、私があの絵で賞を取ったら、きっと、私のことを認めて、私と仲良くしてくれるんじゃないかって思ってるんだ。私、得意なことってそれしかないから」
「………」
だから、彼女は絵が完成するまでは学校を休むわけにはいかない。と。