弟子にしてくれないと泣くかしら!
男の部屋は書類で散らかっていた。ほかにも食べ終わった食器は流しに入れっぱ。積み上げられた本も雪崩かけていて、衛生面的にいうとすごく悪い。


埃っぽくてこっちまで具合がわるくなってしまいそうだった。



「はぁ…仕方がない片付けながら看病するかしら。まずはキッチンのほうからー…」



キッチンを片付けて、起きたら食べるであろう御飯をつくり、本棚を整理して、洗濯をして、埃をはきだして。




最後に書類をと、目を向ければ空中を移動する魔法について研究がなされていた。


どうすれば空中を移動できるか。



これは研究しなくてもみんな知っている魔法だった。昔は。





「ここまで衰退させて。さぞかし、いまの自分に逆らえるものがいなくて高笑いしてるかしら」




自分をこうした、あいつは。




「絶対に引きずりおろしてやるかしら。首を洗ってまってるかしら」





憎しみを込めて窓のそとを睨む。
少しでもやつに届くように。

 

まずは、この呪いを解かないと始まらない。


そのために、この男の弟子になる。




だから毎日のように弟子にしてくれと頼んでいるのに。




この男はちっとも諦めてくれないのだ。




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