【完】放課後、図書室で。
「なんで泣いてんの?」
「な、泣いてないよ……。」
鼻にかかった声が出る。
これじゃあ、泣いてますって言ってるようなものだよ。
「だから、話す時は目ぇ見ろって。」
茅野くんの両手がそっと私の頬を触れる。
そのままゆっくりとあげられて、視線が絡まる。
涙でゆがんだ視界の先、茅野くんが映る。
どんな顔してるか分からない。
でも、すごく、悲しそう。
「誰かに何か言われた?」
「ち、ちがっ……。」
「俺には言えない?」
優しく聞きだすその声にまた涙が溢れてくる。
私ね、好きなんだ。
茅野くんが好きなの。
だから、釣り合わないって言われて悲しかった。
私にだって、茅野くんの彼女になりたいって欲あるんだよ。
でも、思うことすら許されない自分が腹立たしくて。
私も、カースト上位に入りたいって。
無謀なこと考えちゃうんだよ。
「なにが藤村をそんな後ろ向きにさせてるの?」
「わ、私が悪いの……。」