Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
☆
「わあ……」
通りに出ると、街は煌々としたネオンであふれていた。
夜更けだというのに、街の中には闇一つ落ちて見えない。人も店も、街全体がまだ活気づいてざわめいていた。
「夜中でも明るい街だということは知ってましたが……それを実際に目にするのは初めてです。本当に、あるんですね」
「虚構の昼だよ」
風はまだ冷たい。俺は、服に合わせて買ったミリタリージャケットを華月に羽織らせる。
「vanity……」
ネオンに魅せられて、どうやら無意識に華月が呟く。その言葉に、俺は苦笑するしかなかった。