Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
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空の瑠璃色が薄くなり始めた頃、近くをうろうろしていた華月んとこのボディーガードを捕まえて彼女を渡した。
なにかを言いたげに俺を見る華月に軽く手を振ると、俺はさっさと彼女に背を向ける。それ以上、今の俺にできることなんてなかった。今頃、きっとまた泣いているとしても。
女を泣かすなんて初めてじゃない。でも……
部屋に帰りついて深い溜息と一緒にベッドに倒れ込んだところで、ポケットのスマホが鳴った。
電話? こんな早くに?
名前を確認して、俺は軽く目を見開いた。
「おう」
『悪い、起こしたか?』
「いや。ちょうど今帰ってきたとこ」
『んだよ、オールかよ。だったら俺も誘えよ』
「ばーか、新婚初夜に旦那を連れ出したりなんかしたら、俺が美希に恨まれる」
『あー、まあそうだろうけど』
「お前こそ、早いな。こんな時間、まだ寝てると思った」
『もう出ねーと、飛行機間に合わないんだ』
眠そうなレンの声と、がさがさと荷物をかき回しているらしい音。
空の瑠璃色が薄くなり始めた頃、近くをうろうろしていた華月んとこのボディーガードを捕まえて彼女を渡した。
なにかを言いたげに俺を見る華月に軽く手を振ると、俺はさっさと彼女に背を向ける。それ以上、今の俺にできることなんてなかった。今頃、きっとまた泣いているとしても。
女を泣かすなんて初めてじゃない。でも……
部屋に帰りついて深い溜息と一緒にベッドに倒れ込んだところで、ポケットのスマホが鳴った。
電話? こんな早くに?
名前を確認して、俺は軽く目を見開いた。
「おう」
『悪い、起こしたか?』
「いや。ちょうど今帰ってきたとこ」
『んだよ、オールかよ。だったら俺も誘えよ』
「ばーか、新婚初夜に旦那を連れ出したりなんかしたら、俺が美希に恨まれる」
『あー、まあそうだろうけど』
「お前こそ、早いな。こんな時間、まだ寝てると思った」
『もう出ねーと、飛行機間に合わないんだ』
眠そうなレンの声と、がさがさと荷物をかき回しているらしい音。