Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
☆
「で、なんであんなところで男をひっかけてたの?」
近くのバーに入る。彼女には、ノンアルのカクテル。俺は、ズブロッカをロックで。
でも、今日は酔える気がしない。
「はい、あの、私……まだ、男の方とつき合ったことがなくて……それで、デートというものがしてみたかったんです」
両手を細いグラスの足に沿えて、華月ちゃんは恥ずかしそうに言った。スツールに座る背筋は、ピンと伸びて綺麗だ。それを見ても、育ちがよさそうなのはうかがえる。
「若いくせに何を言ってるの。デートなんて、これから彼氏ができたらいくらでもすればいい」
「私、明日、お見合いをするんです」
俺は、グラスを傾ける手をとめて彼女を見た。
「お見合い……華月ちゃん、いくつ?」
「十七です。来月には高校三年生なります」
馬鹿正直に答えた華月ちゃんに苦笑しながら、俺は人差し指を口元に当てる。は、としたように華月ちゃんは自分の口元を押えた。
未成年だとわかったからって追い返すようなまねはしないけど、彼女が捕まったら、連れ回していた俺もヤバイ。
「で、なんであんなところで男をひっかけてたの?」
近くのバーに入る。彼女には、ノンアルのカクテル。俺は、ズブロッカをロックで。
でも、今日は酔える気がしない。
「はい、あの、私……まだ、男の方とつき合ったことがなくて……それで、デートというものがしてみたかったんです」
両手を細いグラスの足に沿えて、華月ちゃんは恥ずかしそうに言った。スツールに座る背筋は、ピンと伸びて綺麗だ。それを見ても、育ちがよさそうなのはうかがえる。
「若いくせに何を言ってるの。デートなんて、これから彼氏ができたらいくらでもすればいい」
「私、明日、お見合いをするんです」
俺は、グラスを傾ける手をとめて彼女を見た。
「お見合い……華月ちゃん、いくつ?」
「十七です。来月には高校三年生なります」
馬鹿正直に答えた華月ちゃんに苦笑しながら、俺は人差し指を口元に当てる。は、としたように華月ちゃんは自分の口元を押えた。
未成年だとわかったからって追い返すようなまねはしないけど、彼女が捕まったら、連れ回していた俺もヤバイ。