最後の男(ひと)
「おまえ、先ずはビールじゃなかったか?」
「ビールはそれほど好きじゃないんですけど、みんなとりあえずビールって感じなので、大勢の飲み会の時は合わせるようにしてるんです」
「なるほどな。それにしても、相変わらず甘めの酒は苦手なんだな。一香の教育担当してた頃、仕事帰りによく飲みに行っただろ。かわいくねー酒ばっか飲んでた記憶ある」
「甘いと食事の邪魔になるじゃないですか。デザートとしてならいいんですけどね」
「デザートって言っても、ホワイトルシアンとか強めのをゴクゴク飲んでケロッとしてたしな」
「よく覚えてますね」
「話してて思い出したわ。男の前だと飲めないふりする女が多いなかで珍しかったからな。ジュースみたいに何でも飲み干すから、おかげで一度金欠に陥ったんだよ」
「もしかして、途中からお店がせんべろになったのって私のせいですか」
「今さらかよ」
「すみませんでした。今日はあの頃の借りを返しますので、先輩、好きなだけ飲んでください」
私が言えば、町屋先輩は苦笑いする。
「一香、今年で何歳になる?」
「27です」
「俺、31。大台乗ると、いろいろ弱くなるんだよ」
「ビールはそれほど好きじゃないんですけど、みんなとりあえずビールって感じなので、大勢の飲み会の時は合わせるようにしてるんです」
「なるほどな。それにしても、相変わらず甘めの酒は苦手なんだな。一香の教育担当してた頃、仕事帰りによく飲みに行っただろ。かわいくねー酒ばっか飲んでた記憶ある」
「甘いと食事の邪魔になるじゃないですか。デザートとしてならいいんですけどね」
「デザートって言っても、ホワイトルシアンとか強めのをゴクゴク飲んでケロッとしてたしな」
「よく覚えてますね」
「話してて思い出したわ。男の前だと飲めないふりする女が多いなかで珍しかったからな。ジュースみたいに何でも飲み干すから、おかげで一度金欠に陥ったんだよ」
「もしかして、途中からお店がせんべろになったのって私のせいですか」
「今さらかよ」
「すみませんでした。今日はあの頃の借りを返しますので、先輩、好きなだけ飲んでください」
私が言えば、町屋先輩は苦笑いする。
「一香、今年で何歳になる?」
「27です」
「俺、31。大台乗ると、いろいろ弱くなるんだよ」