最後の男(ひと)
先輩からプロポーズをされてから、私の体は士郎を受け付けなくなった。
多分、今の私は、誰が相手でも無理なんだと思う。セフレなんてやっておきながら、清廉な部分がまだ残っていたのかと自分でも驚く。先輩が同時進行できる性質じゃないと言っていたから、その影響もあるのかもしれない。私も同じ立ち位置で考える必要があると思った。
士郎は、セックスできないセフレの顔を見に、これまでと変わらず程良いペースでやってくる。私の部屋で、ビールとつまみで他愛のない話をして終電で帰っていく。
最初セックスを拒んだとき、士郎は一瞬だったけれど顔色が変わった。
学生時代の濃密な付き合いがあったから、例え肝心なことは口にしない相手でも、少しでも感情が顔に出れば分かる。これまで見たことのない、深く傷ついた顔をしていたけれど、怒ったりすることなくさらりと話題を変えてなかった事にした。
私から切り出せば、士郎は思っていることを話してくれるのかもしれない。けれども、森君のように周囲から聞かされる話じゃなくて、自発的に士郎の口から聞きたいと思う。そう思う私は、強がってみせても士郎のことは昇華できていないのだと、あの時から本当は一歩も踏み出せていないと気が付いた。
多分、今の私は、誰が相手でも無理なんだと思う。セフレなんてやっておきながら、清廉な部分がまだ残っていたのかと自分でも驚く。先輩が同時進行できる性質じゃないと言っていたから、その影響もあるのかもしれない。私も同じ立ち位置で考える必要があると思った。
士郎は、セックスできないセフレの顔を見に、これまでと変わらず程良いペースでやってくる。私の部屋で、ビールとつまみで他愛のない話をして終電で帰っていく。
最初セックスを拒んだとき、士郎は一瞬だったけれど顔色が変わった。
学生時代の濃密な付き合いがあったから、例え肝心なことは口にしない相手でも、少しでも感情が顔に出れば分かる。これまで見たことのない、深く傷ついた顔をしていたけれど、怒ったりすることなくさらりと話題を変えてなかった事にした。
私から切り出せば、士郎は思っていることを話してくれるのかもしれない。けれども、森君のように周囲から聞かされる話じゃなくて、自発的に士郎の口から聞きたいと思う。そう思う私は、強がってみせても士郎のことは昇華できていないのだと、あの時から本当は一歩も踏み出せていないと気が付いた。