あやかし屋敷へようこそ
あやかし屋敷
❀ 1
「弥生、またバイト辞めたの?」
「…うん。なんか厳しくてついていけなくてさ」
昼下がりの教室。
私の席の所へ親友の明美が訪ねてきた。
「時給高かったのに、勿体な〜」
そう、私はつい昨日、かなりの高時給のバイト先を辞めてきたばかりなのだ。
お給料はいいけど、やっぱりそれに張り合うくらいの仕事の厳しさ…
中々あそこで続けられる人はいないと思う。
「あ!そーいえばさ、あのおっきなお屋敷!新しい人が引っ越してきたらしいよ?」
「…え?」
「ほら!あの帰り道にある、ちょっと薄気味悪いさ…」
「あぁ〜」
そう言われて思い出した。
私たちの家への帰り道に、とても大きな、でも何となく人を寄せ付けないようなオーラを放っている、言っていいのか分からないけど、薄気味悪いお屋敷があるのだ。
< 1 / 7 >