【完】キス・フレンド
オレンジ・キス
初夏。
7月の夏の日差しが眩しい季節。
「暑い……。」
今日も今日とて、私はまたあの場所へやってきていた。
授業に出るのは面倒くさい。
でもこのサボり場所は暑い。
日陰になっている分、他よりは幾分かマシだけど。
それでも野外だし。
暑いものは暑い。
ねっとりとした熱気を含んだ空気と風に倦怠感を覚える。
首筋を流れる汗が気持ち悪い。
そして、
「先輩、暑いのでどっか行ってください。」
「それはこっちのセリフだ。年功序列だから広瀬がどけ。」
狭い空間にふたりの人間。
密集しているせいでさらに暑い。
この場所、夏はさすがにきついでしょ……。
そう思っているのに来るのをやめられない。
それには理由があるから。
私は、暑くてもしんどくてもやってくる。
あのファーストキスの日から。
私たちのキスフレンドの関係は続いている。
帰り際、触れるだけのキス。
先輩からのキス。
ゆっくりと触れるだけ。
痺れるような甘いキスが降ってくる。