【完】キス・フレンド
「だから雄弁って言って下さい。」
「あんまり憎まれ口叩いてると、悪戯するぞ。」
「悪戯って……子供ですか、先輩。」
「……そうだな、子供かもしれない。」
「えっ?」
「だから、ガキのすることは大目に見ろよ。」
何か企んだ顔をした先輩は。
獲物をとらえたような目つきに変わって、私の方へ迫ってきた。
人間の本能なのか。
私は咄嗟に後ずさりしたけど。
先輩の動きの方が早くて、後頭部を掴まれてしまう。
勢いよく伸びた腕。優しく包み込む手のひら。
吸い寄せられるように先輩のもとへと顔が近づいていく。
喰らい尽くされる。
そう思った。
先輩の唇は、私の喉元へ行き。
そのまま首元に噛みついた。
「っぅ……!」
痺れるような痛みが全身に走る。
じりじり、びりびり。
電流が流れた様に身体が震える。
なに、これ……。
くすぐったくて。それでいて、腰が砕ける。
歯を立てて噛みついた後。
ちゅっとリップ音を立てて吸われる。