【完】キス・フレンド
『唇へのキスは、愛情』
たくさんの先輩の愛を受け取った。
抱えきれないくらいの愛を受け取った。
高校を卒業してからもうどれほど経ったのだろうか。
私は先輩とあれ以来会っていない。
高校と違って噂は聞かないから。
今どこで、先輩がなにをしているのか。
私には知る由もない。
それでも、もし偶然先輩と出会うことがあれば。
私はあの時のようにまた、生意気な口を叩く事が出来るだろう。
時間が思いを連れ去って。
時間が解決していく。
あの時、あの1年未満の時間。
あれほど濃密な時間を過ごしたことはない。
流れ星のように駆け巡った私の恋物語。
もう会うことのない先輩への想い。
先輩、今なら言えます。
あの時私は確かに。
先輩に恋をしていました。
……なんて言ったら、生意気だって言いますか?