【完】キス・フレンド
「生意気だ、ガキ。」


「ガキじゃありません。」


「ガキだよ、ばーか。」


でも嫌いじゃない。
また殺し文句をさらりと言ってのける先輩。
故意なのか天然なのか。
全く読めない先輩。


私も、嫌いじゃないですよこの時間。
そうして、私と先輩のふたりだけの時間が始まった。


学年の人気者、藤川悠斗がサボり魔だと言うことは。
私しか知らない事実。
そして、そのサボり魔と時間を共有する唯一の人物。
憎まれ口で世間話をする、ただそれだけの間柄。


「お近づきの印に。」


そう言って先輩は私の髪にキスを落とした。


ああ、この人は。
人口タラシ野郎だ。


爽やかな笑みと共にウインクを一つこぼした。
その姿は憎たらしくもかっこよくて。
不覚にもときめいてしまう自分がいた。


そんな先輩との奇妙な一年が、幕を開けた。





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