7年目の本気
二度寝から目を覚ますと、
 匡煌さんは出かける準備をしていた。

  
「出かけるのー?」

「おはよう」


  額におはようのキスをしてくる。


「おはよう……」

「買い物だ。和巴も一緒にな」

「えー、私も?」

「なんだ、嫌なのか?」

「別に嫌ってわけじゃないけど」

「なら、さっさと起きろ。朝めし食ったら出かけるぞ」


 何だか今日の匡煌さんはいやに張り切ってるから
 ”体が痛くて動けない”なんて言えなかった。
 
 だけど……
 
 起き上がろうと身体を動かすけど力が入らない。
 でも、シャワーも浴びたいしお腹も空いた……
 その一念で何とか上半身を起こし、
 壁に手をついてヨタヨタと何とも情けない足取りで
 バスルームへと向かう。

 ったく、こんな姿、誰にも見せられないよ……と、
 自嘲しながら体を洗って。
 熱いシャワーを腰に当て、幾分楽になったところで
 もう1度湯船に浸かった。
 
 なんせ、ここのお風呂。
 うちとは違って、ちょっとした高級旅館みたいな
 総檜造りの和風な広々お風呂。
 
 心ゆくまで大好きな入浴を楽しんで、
 リビングへ戻れば、匡煌さんが朝食まで
 用意してくれていた。
 
 
「うわぁぁ……美味しそう」 

「さぁ、たーんと、召し上がれ」

「いただきます」
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