7年目の本気

 これからデートだという2人を見送って、
 部屋へ戻った私はベランダへ出た。

 都会の街は周りのビルや家々から漏れる電気で
 結構深夜まで明るい。
 それに加えこのシェアハウスの建物は高台に
 建っているので、かなり遠くまで見渡す事が出来た。

 見える訳はないのに ――
 思わずマンションの方向へ目を向けた。

 2度と会わないって決めたのは自分。

 だから今は、まだ同じこの町に一緒にいられるって
 事だけで良しとしよう。

 これから私は、
 もっと強くならなきゃダメなんだ。

 もし、何年か後、
 彼と偶然何処かで再会しても、笑顔で話しが出来る
 ように……。

 私は強くなる。

 ―― コン コン


「はーい?」


 開いたドアから顔を見せたのは、
 向かいに住む華人系アメリカンのジェフ。


「ハ~イ・マイハニー、おじゃまですかぁ?」

「ううん、そんな事ないよー、どうぞ入って」


 と、言うと「では、おじゃまします~」と
 ジェフを筆頭にこのハウスの住人さん達が
 ゾロゾロと入って来た。
 皆、手に酒と肴、それにスナック菓子を
 持っている。
 どうやらこれから、夜通しの飲み会になりそうだ。  
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