This Is Love Story
「…俺だ。」
「え…?」
「────その倒れてた男、
…俺なんだよ。」
まるで二人の間だけ、時間が止まったようだった。
いつの間にか止んだ雨。
遠くで聞こえる踏切の音や、若者たちの高い笑い声。
そんなものもまったく耳に入らないくらい、
彼の存在だけを感じた。
「……あれ…禅くんだったの…?」
「あぁ。初めて会った時から気づいてた。」
禅くんに助けてもらった日。
そっか…
だからあの時、私を車に乗せたんだね。
「……ずっと探してた。
あの時お前が着てた制服をヒントに、ハッキングもしてみたけど…ダメだった。」
当たり前だ。
だって私の情報は組が頑丈にロックしてる。
どれだけ強い暴走族でも、本職とは訳が違う。