This Is Love Story
「……おいこら。
こんな時間までどこほっつき歩いてんだ。」
不意に聞こえたその声に、ドキッとした。
聞き慣れたその声。
それが誰のものかなんて、わからないはずかない。
だって、今まで誰よりも私のそばにいたのは彼だから…
もう帰ってたんだ…。
「佑………」
家の門にもたれかかって、こちらを見据える佑がいた。
どこか怒りを含んだ瞳。
さっきまで禅くん達と会っていた後ろめたさもあって、今はまともに佑の顔を見れない。
「あ………昴兄も…帰ってる?」
今まで向けられたことのないその目が何だか怖くて、必死にその場を取り繕った。
きっと今、私の顔引きつってる…。
「─────…なぁ、結衣。
…俺らに、隠してる事ないか?」
私の質問に答えずに、突然そう尋ねた佑。
必死で作った不自然な笑顔に、冷や汗が浮かぶ。
私が一番恐れていたその言葉に、どう反応していいのかわからなくなる。