This Is Love Story
彼はそんな私を抱きとめて…
そのままギュッと肩を抱く。
「危ねぇ…。どうした?」
「すみません。
猫が飛び出してきて…。」
私の顔の真上で禅くんの声と、運転手さんとの会話が聞こえてくるけど…
…今の私はそれどころじゃない。
彼の心音が聴こえるくらいの密着度。
声を発した時の微かな振動も、彼の体温も、直に感じられる。
今日の私は、禅くんをいつも以上に意識しすぎている。
そのせいか、いつも以上に顔も火照って…
なんだか体がムズムズする…。
「おい、結衣?」
「へっ?」
「顔、真っ赤だけど…大丈夫か?」
私の頬に両手を添えて、顔を覗かせる彼。
狭い車内で密着状態。
…その上、こんなにも顔が近いなんて…。
「…禅くん好き。」
「知ってる。」
気づいたら口に出していた。
私のこの癖も、もういつもの事だけど…
自分で言っておいて、すごく恥ずかしい。