This Is Love Story










「結衣っ…!!!」








後ろから禅くんの声が聞こえたけど、もう振り返らない。

真っ直ぐ前だけを向いて、溢れ出る涙を拭い続ける。







棗くん…雄大…。

今まで仲良くしてくれて、ありがとう…。






禅くん…。

本当に、大好きだったよ…。






何度も何度も涙を拭う私の手を、佑はそっと握った。











「…お前に泣く資格なんてねぇよ。」





「……ご…めん……っ…。」





「わかったから、もう泣くな。」










ぶっきらぼうな佑の優しさに、余計胸が締め付けられる。




佑も、きっと傷ついてるはず…。

だって、私たちが会ってるところを自分の目で見ちゃったんだもんね…。




私のことを嫌いになっても仕方ないのに…

…こんなにも、繋いだ手が優しい…。




私は、佑の手をギュッと握り返した。












< 267 / 631 >

この作品をシェア

pagetop