This Is Love Story









「こら、結衣!

正座崩さないの!!」






「はっ。怒られてやんの。」









私の太ももをパシッと叩くお母さんと、いつものように憎まれ口を叩く佑。









「だって…

着物なんて普段着ないし…。」







今日は昴兄の門出を祝うということで、組員のみんなも正装だ。



白い着物の昴兄に、グレーの着物の佑。

私はレトロな花柄の赤い着物を身に纏う。




着慣れない着物は窮屈だし、ずっと正座で足も痺れてきたし…

昴兄には悪いけど、少し外の空気でも吸ってこようかな…。



私はそっと立ち上がって、部屋を出る。









「あれ?…お嬢、どこ行くんだ?」





「祥さん…。」








裏社会の人とは思えないほど爽やかなこのお兄さんは、秋星祥(アキボシ ショウ)さん。


まだ25歳で私たちと歳も近く、とても親しみやすい組員さん。

私の第二のお兄ちゃんって感じ。











< 301 / 631 >

この作品をシェア

pagetop