This Is Love Story
「こら、結衣!
正座崩さないの!!」
「はっ。怒られてやんの。」
私の太ももをパシッと叩くお母さんと、いつものように憎まれ口を叩く佑。
「だって…
着物なんて普段着ないし…。」
今日は昴兄の門出を祝うということで、組員のみんなも正装だ。
白い着物の昴兄に、グレーの着物の佑。
私はレトロな花柄の赤い着物を身に纏う。
着慣れない着物は窮屈だし、ずっと正座で足も痺れてきたし…
昴兄には悪いけど、少し外の空気でも吸ってこようかな…。
私はそっと立ち上がって、部屋を出る。
「あれ?…お嬢、どこ行くんだ?」
「祥さん…。」
裏社会の人とは思えないほど爽やかなこのお兄さんは、秋星祥(アキボシ ショウ)さん。
まだ25歳で私たちと歳も近く、とても親しみやすい組員さん。
私の第二のお兄ちゃんって感じ。