This Is Love Story
「…その婚約で、唐沢組は何を得られるんですか?」
低く落ち着いたトーンで尋ねる兄貴。
その瞳は、真っ直ぐ親父を捉えて離さない。
「そこもなかなか強い組だ。
手を組めば勢力は拡大できるし、クソみてぇな連中に対する牽制にもなる。」
無表情で淡々と述べる親父。
その姿は、いつものだらしない姿からは想像もできないほど勇ましい。
「一番デカイのは、警察のツテが手に入ることだ。」
そんなにサツのツテが必要なのかよ…
娘を売ってまで手に入れたいものなのかよ…
「この組の若頭として…
お前たちはどう思う?」
親父の問いかけに、苛立ちを隠せない。
…は?
どう思うか、だと…?
まさか賛成するとでも思ってんのか?