This Is Love Story
俺は急いで棗に連絡を入れて、黒いパーカーとズボンに着替えた。
フードを深く被り、そしてもう一本の電話を入れる。
──────プルルル…
『もしもし。』
わずか3コール程で電話に出たその男。
落ち着いたその声には、威厳が感じられた。
「こんばんは、月島組若頭の月島禅です。
お久しぶりです。
唐沢組若頭………唐沢昴さん。」
かつては信頼出来る仲間で、親友だった。
あの事件以来、連絡をするのは初めてだ。
結衣を攫った黒薔薇は、この辺りでは最も卑怯で最も強い族。
龍王の構成員全員を動かせたとしても、黒薔薇に勝てるかは分からない。
だから俺は、〝裏切り者〟である覇王前総長に連絡を入れたのだ。