This Is Love Story
大変だった半月のリハビリを思い出しながら病室を見渡すと、ガラッと音を立てて扉が開かれる。
そこには、ジャケット姿の禅くんの姿があって…
無造作にセットされた黒の短髪。
黒いタートルネックのニットに、ジャケットというシンプルなスタイルがとても似合っていて…
思わず見惚れる私に彼は歩み寄ると、優しく私の頭を撫でて言う。
「結衣、帰る支度出来たか?」
「あ、うん!」
「帰るか。…荷物これだけ?」
「うん。」
彼は私の手から大きなカバンを奪うと、反対側の手を差し出す。
そっと差し出されたその手がなんだか嬉しくて、私はギュッとそれを握った。
繋がれた彼の手は、相変わらず少し冷たくて…