This Is Love Story
「…手、温かいな。」
そう優しく笑いながら、私の指を絡めとる彼がどうしようもなく愛おしい。
「フッ……子供体温。」
「…んな!?ちがうよ!
禅くんの手が冷たいんです!」
「はいはい。」
そんな風に二人で寄り添って院内を歩いて、主治医の先生や担当看護師の人達に笑顔でお見送りをしてもらって…
そして彼の車の助手席に乗った時、ようやくあることに気がつく。
「…あれ?そういえば家族は?」
禅くんと2人きりで完全に浮かれて今まで気づかなかったけど…
あれだけ毎日お見舞いに来ていた家族が、何故退院日に来ない?
私の疑問に、隣に座った彼が答える。