This Is Love Story
「…悪ぃ。俺が昴に頼み込んだ。
“ 連れて行きたい場所があるから、退院日は結衣と二人にしてくれ ”って…」
「ご両親は、退院手続きだけ済ませて帰ったよ。」という彼に、私は一人納得する。
…でも……
「…“連れて行きたい場所”って…?」
私が尋ねると、彼は「秘密。」と小さく笑う。
「えー、なんで。
教えてよ、ケチ。」
「着いてからのお楽しみな。」
「よし、出発進行!
今すぐ行こう!」
「落ち着け。
とりあえず、先に昼メシな。」
そう言って笑いながら、彼は慣れた手つきで車を発進させた。